THE CELLを読む⑭
気まぐれに始めた勉強ですがタイムリーに論文に出てきて驚き。化学もおさらいしないと厳しいですね。
細胞でみられる小分子の生体内での役割について。
細胞内の殆どの分子は炭素を基本としている。炭素は共有結合を4つ作ることができ、炭素同士でC-C共有結合を作ることもできる。このため高分子を作ることができる。細胞が作る炭素化合物を有機分子(organic molecule)と呼ぶ。
有機分子には特定の基(chemical group)が頻繁に現れる。基には特定の物理学的・化学的性質があり、その基を含む分子の振る舞いに影響する。よくあらわれるのは-OH(ヒドロキシ基)、-COOH(カルボキシ基)、-C=O(カルボニル基)、-PO3^2-(リン酸基)、-SH(スルフヒドリル基)、-NH2(アミノ基)など。
細胞内の有機小分子は細胞液中に遊離状態で存在し、様々な反応経路をたどる。一部は重合して蛋白質、核酸、多糖などの巨大分子(mocromolecule)の構成単位となり、残りはエネルギー源となったり、分解されたり、他の小分子に代謝・変換されたりする。
有機化合物は簡単な化合物群から合成され、分解されると元の化合物群に戻る。合成と分解の化学変化も範囲が限られているため、細胞内化合物は似たものが多く特徴によってグループ分けされている。大まかに、糖(sugar)、脂肪酸(fatty acid)、アミノ酸(amino acid)、ヌクレオチド(nucleotide)の4種類に分けられる。
キリがいいのと眠すぎるのでこの辺で。お疲れさまでした。
THE CELLを読む⑬
ワニに食われる夢を見ましたが、大きすぎてゴジラという感じでした。
極性共有結合を持つ分子が水(細胞)に溶けると、化学反応が起こる。
Hは電子を引き付けにくいので分子内でプロトン(proton)(H+)に近い状態になっている。細胞内では何十億ものプロトンが分子間を移動し続ける平衡状態となっている(例えば、水分子はプロトンを受け取りヒドロニウムイオン(H3O+)を形成したり、水酸化物イオン(OH-)となったりしている)。
水に溶けた際、自身はプロトンを放出して水分子をヒドロニウムイオンに変える物質を酸(acid)という。水の平衡定数1.0×10^14=[H3O+][OH-]なので、酸のためにヒドロニウムイオンの割合が高くなると水酸化物イオンの割合は下がってくる。ヒドロニウムイオンの濃度をH+濃度と呼ぶが、この対数がpHである(純粋のpHは7.0で中性である)。
自身はプロトンを受け取って水酸化物イオン濃度を高める物質を塩基(base)という。(-OH基を持たずとも、NH2基を持っていれば-NH2+H2O→-NH3++OH-となり水分子から水酸化物イオンを作れるので塩基性である。)
酸性、塩基性の物質が緩衝しあって(厳密にいうと酸性に傾きやすいのを塩基性物質が緩衝することで)細胞内はほぼ中性に保たれている。
共有結合は非常に強い結合だが生命活動の多くは異なる分子間の特異的結合により生じるので、細胞内では共有結合に勝る非共有引力(非共有結合(noncovalent bond)による)が働ていることになる。細胞内で働く非共有引力は4種類あり(以下に示す)、これらの力が合わさることによって固い共有結合に勝る力を発揮している。
・静電引力(electrostatic attraction)…反対の電荷をもつ原子間に働く引力。2つの原子が完全に帯電している場合はイオン結合である。水溶液外では強く、水溶液中では弱い。したがって細胞内では弱い。
・水素結合(hydrogen bond)…片方の分子のOともう片方の分子のHによる電気的引力。水溶液中では無数の水素結合が形成され競合するので一つ当たりは弱い。
・ファンデルワールス力(van der waals attraction)…非極性分子でもゆらぎにより双極子(極性磁石)を引き起こすので、異なる2分子間では必ず弱い引力が生じる。これは水の影響を受けない。
・疎水力(hydrophobic force)…水素結合を妨げる非極性表面が押しのけられる結果生じる力で蛋白質分子の折りたたみに関与する。
今日は忙しそうなので気合い入れて頑張ります。朝の分はこれにて。
THE CELLを読む⑫
今タイトルに〇で囲った数字つけてますが、これ㊿まであって51からはないんです。困りましたね。
共有結合の多くは2個の原子で2個の電子を共有する単結合(single bond)であるが、複数対の電子を共有する場合もあり、4個の電子を共有する場合は二重結合(double bond)となる。
単結合に比べ二重結合では結合長が短く強度も強くなる。また単結合では自由回転が可能であるが、二重結合では自由回転できず原子配置は固定される。
結合の数が増えればいいというわけではなく、三重結合では単結合と二重結合の中間の性質が見られる。
単結合を作る2原子の元素が異なる場合、共有結合を引き付ける強さに違いが出る。O,Nは比較的強いが、C,Hは比較的弱い。
分子内で極性の偏り(正電荷と負電荷のが局在)がある構造を極性(polar)構造と呼び、極性のために共有電子が偏っている共有結合を極性共有結合(polar covalent bond)という。
極性共有結合は永久双極子(permanent dipole)(磁石のようなもの)を作り出して分子の電気的相互作用を可能にする。これは生命活動において極めて重要な性質である。
共有された電子は引力も斥力ももつが、斥力により他の非共有結合原子がそれ以上近づけない半径をファンデルワールス半径と呼び、一方で2個の原子間に働く引力(弱い)のことをファンデルワールス引力という。
ファンデルワールス半径を考慮した模式図を空間充填模型という。
細胞重量の約70%が水である。
水分子(H2O)を構成するOはHに比べて電子を引き付ける力が強いので、水分子自体の極性は高くなる。Hは正電荷、Oは負電荷を帯びている。
単体で極性を持つ水分子同士が近づくとHとOで電気的な引力が働き水素結合(hydrogen bond)と呼ばれる弱い結合ができる。この水素結合により水の性質①常温で液体②沸点が高い③表面張力が大きい,が現れる。
極性結合を持つまたは電荷(イオン)を持つ分子は水によく溶けるので親水性(hydrophilic)という。糖、核酸、大多数のタンパク質は親水性である。
一方、電荷をもたず水素結合をほとんど作らない分子は水に溶けにくく疎水性(hydrophobic)という。炭化水素がこの代表で、これを利用して膜を形成する。
明日明後日の実験スケジュールがタイトなので夜更新できるか不安です。。とりあえず今日はここまで。お疲れさまでした。
THE CELLを読む⑪
1-3日をオフにしたいので、29-31日は一日2回更新で行きます。
原子は陽子,中性子,電子からなり、構造的には陽子・中性子が中心で固く結合し核となり、電子が外形を作っている。つまり原子の結合は電子に依存する。
電子は惑星のように電子殻(electron shell)と呼ばれる軌道に乗って運動しており、電子殻に収容できる電子数は決まっている(以下に示す)。
(中心から)核-電子殻①(電子×2)-電子殻②(×8)-電子殻③(×8)-電子殻④(×18)...(生体分子の殆どは4番目の電子殻までしか持たない)
電子は中心に近い電子殻から満たされ、電子殻が電子で満たされた原子ほど安定である。
生体組織にある原子は電子殻を満たしていないことが多く、反応性が高い。
満たされていない電子殻は不安定なので、不安定原子同士で化学結合(chemical bond)を行い、安定化を図る。原子間の化学結合は以下の二通りがある。
イオン結合(ionic bond)…最外殻が満たされていない原子は他の原子へ移る
共有結合(covalent bond)…2個の原子で電子を共有する
最外殻を満たすために獲得または放出する電子数を原子価(valence)という。
化学結合で原子間で電子が平等に共有される場合と、不平等な場合がある。後者では電子が偏っている方の原子とそうでない方の原子が存在し、電子が偏っている原子は電気陰性度(electronnegativity)が高いという。
元素の化学的性質には最外殻原子数が重要な役割を果たしているので、元素を原子番号の順に並べると性質の似た元素が周期的に現れる。周期的な元素の特徴に基づいて作成された表を周期表(periodic table)という。
分子(molecule)は共有結合で繋がれた原子の集まりである。
共有結合では①電子の原子間移動はなく、②電子の共有によっていずれの原子の最外殻も満たされる。
正電荷を持つ原子核(陽子+中性子)同士は反発するが、共有された電子がつなぎとめる役割をしている。引力と斥力が釣り合う原子間の距離は決まっており、これを結合長(bond length)と呼ぶ。
共有か非共有かに関わらず、その結合を切るのに必要なエネルギーの総量を結合強度(bond strength)という。単位はkal(kj)/molである。(*1kj=o.239kcal)
典型的な共有結合は熱エネルギーの100倍以上の結合強度を持つため熱運動では切れず、生細胞はこれの切断に酵素(enzyme)を用いる。
1個の原子が複数の原子と共有結合を作る場合、各結合の相対的な向きは共有電子の軌道の方向によって決まる。そのような原子間の共有結合の特性には結合長と結合エネルギーの他に結合角が加わる(水分子(H2O)はミッキー型で耳-頭頂-耳の内角は結合角)。
化学重いなぁ。。朝の更新はこの辺で。お疲れ様でした。。(ねむい。。)
THE CELLを読む⑩
今日から第二章です。
生物はどれも化学反応に過ぎない。生命活動は化学と物理学の法則に従うことが分かっている。
生命現象の化学は以下の3点において特別である。
1.大部分が炭素化合物の反応である(有機化学(orgenic chemistry))。
2.ほとんどが水溶液中での化学反応に依存している(細胞の70%は水であるため)。
3.細胞の化学現象は大変複雑である。細胞の炭素原子の大部分は化学的な構成単位が鎖状に繋がった巨大な重合体(polymeric molecule)に取り込まれている。
物質は元素(element)の組み合わせからできている。
元素としての化学的性質を保つ最小の粒子は原子(atom)である。
多くの物質の特性は原子が結合して作る分子(molecule)の性質として決まる。
炭素12の原子の質量を12とし、これを基準にして測った原子の相対質量を原子量(atomic weight)という。
原子量の値はその原子または分子に含まれる陽子と中性子の数を足したものにほぼ等しい(電子は圧倒的に軽い)。
これらの質量の単位としてDa(ダルトン,dalton)がよくつかわれる。1Da=水素原子一個分である。
陽子や中性子1個の質量は1/6.0×10^23gであり、逆に言えば1gの原子(例えば水素)には6.0×20^23個の陽子・中性子が含まれる。この6.0×20^23という数をアボガドロ数(avogadro's number)という。
分子量Xの物質が6.0×20^23個集まるとXgとなる。この量を1mol(モル,mole)という。
自然界には100近い種類の元素が存在するが、生物はそのうち炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)のほぼ4種類で構成され、これは生物体重量の96.5%を占める。
今日はこの辺で。隣の住人がうるさくて辛いです。おやすみなさい。。
THE CELLを読む⑨
明日は用事があるので本日2回更新♪
酵母、植物、動物は系統樹でいうと同じくらいの近さである(前回を参照)。
真核生物の最小のモデル生物として酵母が選ばれた。
モデル植物として選ばれたのはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)である。シロイヌナズナはアブラナ科で大量に飼育でき、全ゲノム配列が得られている。
モデル動物として選ばれたのは線虫(Caenorhabditis elegans)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、マウス(Mus musculus)、ヒト(Homo sapiens)の4種であり、どの種も全ゲノム配列が決定されている。
線虫(C. elegans)は小さく無害で、生活環(その生物の一生)は数日、生きたまま冷凍保存可能、遺伝学的に研究に適している(別の回で述べる)。
細胞分裂、細胞死などを理解し、発生生物学やがん研究に応用されている。
キイロショウジョウバエは遺伝学の研究に古くから用いられてきた。遺伝子が染色体上に存在すること、DNA上の遺伝情報が成体に反映されることはこのハエの研究から判明し、ハエの遺伝子からヒトの相同遺伝子の機能が分かった。
脊椎動物(背骨を持つ動物)のゲノムにあるほぼ全ての遺伝子にはパラログと呼ばれる類似遺伝子の重複がある。これはゲノムの各部分が別々に何度も重複した結果である可能性が高い。
パラログなどの類縁遺伝子は交換しても目的の機能を果たせる場合が多く、これを遺伝子余剰(genetic redundancy)と呼ぶ。ある遺伝子Aが機能を失っても類縁遺伝子BがAの機能を補うことができる、これは遺伝学研究にとっては好ましくない(各遺伝子の機能が分かりづらい)が、生物進化にとっては好ましい(エラーが生じても致死になりにくいので)。
哺乳類は全体として均一性の高い生物群である(ネズミもゾウも大きさ以外の構造はそんなに変わらない)。このような近い種同士の遺伝的類似性をより詳しく知るためにはオルソログの塩基配列かアミノ酸配列を比較するのが良い。
哺乳類のモデル生物はマウスであり、現時点でゲノムに人工的な変異を導入し遺伝子や翻訳部分の機能を調べることが可能である。
ヒトはモデル生物として扱いやすくはないが、これまでに蓄積された表現型(phenotype)(遺伝子変異によって生じた疾患など結果の部分)のデータが多く魅力的である。
遺伝子塩基配列の類似性を用いてモデル生物間の対応関係とモデル生物研究から得た知見を統合すれば、モデル生物全体に対する理解を深めることができる。
ヒトゲノム計画で膨大な数のヒトゲノムデータが得られたが、共通の配列だけでなく、変異の多様性も重要なデータである。
一章が終わりました。明後日からは二章から行きたいと思います。一先ずお疲れ様でした。
THE CELLを読む⑧
ツボ押しのやわこを紛失したのでかたおに浮気しようか検討中です。体凝って辛い。
真核生物のゲノムには非翻訳DNAが多く含まれるが、この役割については研究途上である。少なくとも遺伝子発現を制御する調節DNAが多く含まれる。
我々多細胞生物を構成する細胞は多様である(脂肪細胞、皮膚細胞、骨細胞、etc...)。しかしどの細胞も全く同じゲノムコピーをもっている。
細胞の違いは胚発生の過程で細胞が周囲からの合図(環境シグナルなど)に応じて遺伝情報を選択的に利用する結果生じる。(シグナル→センサー→遺伝子発現)
発現したタンパク質の大半は他の遺伝子発現を調節するための遺伝子調節タンパク質(gene regulatory protein)である。
細胞は環境シグナルを受け取るだけでなく、近くの細胞と活発にシグナルを交換しており、これによっても遺伝子発現を調節している。
真核生物の多くは単細胞の原生生物(protist)であり(動物や植物は実は数が少ない)、狩猟型原生生物(protozoan)、光合成生物(alga)、単細胞菌類(fungus)が主である。
原生生物は(ミジンコやミカヅキモのように)様々な形態を示し、感覚毛、光受容器、繊毛、口器など...精巧な構造を持つ。
系統樹を見ると真核生物の枝のほとんどは原生生物であり、動物・植物などは枝一本分に足るか足らないか程である。
原核生物のモデル生物は大腸菌であり、真核生物のモデル生物は出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)である。
出芽酵母は単細胞菌類であるが、系統的には植物-動物と同じ程度の近さである。(丈夫、生育簡便、細胞壁をもち、ミトコンドリアをもつが、葉緑体はもたない、分裂スピードが速く、栄養生殖(細胞分裂)も有性生殖も可能)
酵母は真核生物としてはゲノムが小さく、非翻訳DNAが少ないことから遺伝子の機能を知るには最適なモデル生物である。
ヒトも酵母も大腸菌も全ゲノム解析が完了しており、塩基配列は明らかになっている。
ゲノム塩基配列が分かるとマイクロアレイなどの遺伝子発現計測技術を用いて、メッセンジャーRNAの量を同時に計測でき、条件ごとの遺伝子発現パターンが分かる。
遺伝子発現の情報は解析によって膨大なデータとして得られる。このデータから細胞の意味を知るためには数学、計算機、定量的情報が必要である。
しかし実際の遺伝子発現は定性的であり、必ずしも計算の通りとはならないため、理論と実験の融合が必須である。
今日はこの辺で。お疲れさまでした。