THE CELLを読む⑦
THE CELLの26頁以降は真核生物について述べられているようです。(原核生物専門の人なのでまじか…となっています)
真核細胞と原核細胞の違いには以下のものがある。
・DNAが核膜(nuclear envelope)という二重膜に包まれており、この構造を核という
・大きさは原核生物<真核生物であり、スケールは10倍、体積は1000倍になる
・細胞質内にタンパク質の繊維がある。繊維に沢山のタンパク質が付着した構造=細胞骨格(cytoskeleton)があり、これが細胞の強度、形、運動に関与する
・核膜は細胞内膜系(internal membranes)の一種であり、これらは細胞膜に似た構造をしており(脂質二重膜)、多くは消化や分泌に関与する
・細菌のように細胞膜を持たないので、素早く・異物を取り込む食作用(phagocytosis)を示す
これらの特徴から真核細胞の祖先は捕食者だったのではないかとする見方がある。
真核細胞に捕食された細胞が真核細胞の一部として残っていて、これの代表がミトコンドリア(mitochondrion, mitochondria)であるという説がある。これを共生説という。
ミトコンドリアは二重膜で包まれており(元は細胞膜?)、酸素を取り込み、糖などを酸化してエネルギーを取り出し、ATP(以前の回を参照)を作る。
ミトコンドリアは小型の細菌と同様の大きさで、細菌と同じ環状DNAをもつ(真核細胞の核DNAとは別物)。真核細胞とは別にリボソームを持ち、トランスファーRNAもミトコンドリア独自のものを使用している。
以上の証拠から嫌気性の大型細胞が好気性のミトコンドリアの祖先を取り込み共生するようになったと考えられている。
植物細胞にはミトコンドリアだけでなく葉緑体(chloroplast)という光合成を行う器官があり、同じく自前のゲノムを持つことから、これも共生によって獲得したと考えられている。
菌類はミトコンドリアと細胞壁を持ち、捕食できない反面、消化酵素を持つ。これにより他の生物の分泌物や死骸の栄養分を細胞外から取り込んでいる。
ミトコンドリアも葉緑体も元は単独の生物であるので取り出せば単体で生きれるように思うがそうもいかない。これらの器官が働くための遺伝産物をコードしているDNAの一部は宿主の核DNAに組み込まれてしまっている。
すなはち、真核細胞は起源の入り混じった(例えば自身+ミトコンドリアの先祖の)ゲノムを持つ。
一般的に細胞はゲノムサイズに比例して大きくなるので、真核ゲノムは大きい。
これは共生細胞から獲得した遺伝子の蓄積によると考えられている。
真核生物は原核生物より多くの遺伝子を持つだけでなく、タンパク質をコードしない非翻訳領域も多く持っている。
細菌とヒトのゲノムを比較すると、ヒトは1000倍の塩基対を持つにも関わらず、遺伝子の数は20倍であり非翻訳DNAは10000倍である。(大腸菌の非翻訳領域は大腸菌ゲノムの11%であるが、ヒトでは98.5%、ほとんどが非翻訳領域なのだ!!)
実験があるので今日はこの辺で。お疲れ様でした。